中村安希さん

朝日新聞 地域>三重の「カフェ日和」から中村安希さんの文章へのリンクをピックアップ

  • 雨期・断食月の旅を満喫 2015年07月26日

旅の計画を立てるにあたって、どこへ行くかと同じくらい重要なのが、いつ行くか、ということである。一般的には、気候が穏やかで街が最も華やぐ季節を選ぶものだが、どうも私はその逆を選ぶ傾向があるらしい。別に大層な理由があってそうしている訳ではなく、単に航空券が安い時期に飛んでいたら、そういう癖がついてしまっただけだ。とは言え今回は、いつもにも増して憂鬱(ゆううつ)な時期を選んだものだな、と我ながら思う。洪水で有名な、かのイスラム教の国に、雨期真っただ中の、しかもラマダーン断食月)中に来てしまったのだから……。

http://www.asahi.com/area/mie/articles/MTW20150726250530001.html
  • 「シニア」は最大の消費者層 2015年05月30日

うちの近所のフィットネスクラブでは、75歳以上になると会費が安くなる。映画館のシニアデーなども目立つようになってきた。当然だろう。人口が多く、お金と時間がたっぷりある最大の消費者層が、まさに「シニア」なのだから。そこをターゲットにしない手はない。

 少し前に某テレビ局のディレクターと打ち合わせがあり「○○のような番組を作りたいのだが」と相談を受けた。「テレビを持っていないのでよく分からない」と答えると相手は驚いたようだったが、逆に私はこう聞き返した。

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  • 就活なんてしなかったけど 2015年03月28日

就職活動が解禁になったらしい。ニュースなんかを見ていると、みんな本当に大変そうだ。就活生の2割が、死にたいくらい悩んでいるらしいから、事態はなかなか深刻である。正直、私にはその気持ちが分からない。

 私は俗に言う「就活」をやらずに社会に出た。企業説明会やエントリーシートといった単語は、社会に出てしばらくするまで聞いたことさえなかった。社会をなめていたし、世間知らずだったと思う。でも、そのおかげで悩まずに済んだのかもしれない。

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  • 原稿の「決まり手」今回は… 2015年02月07日

実は、相撲が好きである。昔はよく大相撲を観(み)ていたし、今でも星取表くらいはチェックする。勝敗は気になる。力士の成長も楽しみだ。しかし相撲の魅力は対戦だけでなく、文化そのものにあると思う。中でも「決まり手」が面白い。

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  • 高地では大変「ゆで卵」作り 2014年11月29日

旅行中の一番身近な食べ物は、バナナとゆで卵である。どこにでもあり、調理に手間がかからず、エネルギー効率がいい。どちらも食べる直前に皮や殻をむくので、衛生面での心配も少ない。だから先々月、北インドを旅行した時も、朝食には毎日ゆで卵を食べるつもりだった。が、しかし予想外の展開となった。

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  • 初登山 ガイドへ感謝と敬服 2014年10月11日

私の肩書はバックパッカーであって、トレッカーではない。旅の途中で野山を歩くことも無いわけではないが、あくまでも主体は人との交流。厳しい自然と対峙(たいじ)し、身体を激しく追い込むような硬派なことはやらない。お茶屋さんでダラダラとおしゃべりするのが私のスタイルだから。と、ずっと信じてやってきたが、先週ちょっとしたはずみから、山に挑むことになった。人生初の登山である。

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  • 新刊で得た新たなスタート 2014年08月09日

著者にとって、新刊の発売はゴールだ。取材、執筆、校正を経て、作品はようやく自分の手を離れ独り立ちしていく。だから、6月の終わりに新刊の発売を迎えた時、8月を日本で過ごすことになろうとは思わなかった。次の取材地、つまり旅先のどこかで、「カフェ日和」を書いているだろうと思っていたから。

 こんなことは今までなかったのだけれど、本を出してから、やたらと忙しい。毎日誰かがやってきて、延々と話し込む日々が続いている。相手は8割が女性。本を読むと、どうも語りたくなるらしい。とは言っても、本の内容について語り合うわけではなく、要するにみんな、自分のことを語りたくなるようなのだ。

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  • 電車内の友、本からスマホに 2014年06月14日

韓国から懐かしい知人がやってきて、6年ぶりに都内で再会した。商談で日本に来ているらしく、ランチタイムに六本木ヒルズで話した。本人は、ちょっと中年太りしたという点を除けば、よくも悪くも、あまり変わっていなかった。ただ、彼の目に映る日本は、少しだけ変化したようだ。

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  • 恐怖の「ぎっくり首」 2014年04月26日

ぎっくり首をご存じだろうか? 要は頸椎(けいつい)ねん挫だが、去年の夏、これをやった。布団から起き上がろうとした瞬間に、首がブチッと音を立てて固まった。少しでも動かせば振動が頭に響く。激痛が走る。歩くことも、食べることもできない。便座に座るのも一苦労なら、一度座ると、今度は立ち上がれなくなる。体を横たえるのに1時間。体を起こすのに1時間半。寝返りが打てずに腰痛になり、歯を磨けずに虫歯になる。脱衣不可。シャワー不可。洗顔さえままならない悪夢の夏を過ごした。頭部の重さを、頸椎のもろさを、人体のバランスの危うさを、あれほどまでに痛感させられることはもうないだろう。あったら困る。

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  • 蚊取り名人 招き入れるには 2014年03月01日

世の中には、虫に好かれる人、というのがいる。私だ。別に自慢している訳ではない。とりわけバックパック旅行中は、モテ度がぐぐーんとアップするから困ってしまう。近寄ってくるのは、南京虫、ダニ、蚊、蚊、そして蚊。

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  • 別れ近づく無敵の「相棒」 2013年11月09日

バックパックを新調する。と、ついに決心したものの、70カ国以上を共に旅した相棒をいざ手放そうとすると、やはり寂しさがこみ上げてくる。
 8年前のあの日、スポーツ用品店で手に入れた最安値のバックパックは、次々と崩壊していく他の旅行者のバッグを横目に強靱(きょうじん)な粘りを見せた。トラックの荷台から振り落とされた時も、他の貨物の下敷きになった時も負けなかった。泥にまみれようと、ぺしゃんこになろうと、必ずよみがえってきたバッグ。どんなときも頼りになる、自慢の相棒だった。

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  • 音への寛容さ求め、旅へ 2014年01月11日

 この島の夜は長い。ナイトライフは11時ごろから始まり、明け方まで延々と続く。毎晩、街の至る所で音楽が鳴っている。今、レゲエ音楽の故郷ジャマイカで、この原稿を書いている。

 数日前の深夜3時ごろ、スピーカーから流れてくる大音量に内臓を突き上げられながらふと、日本のことを考えた。深夜の、しかも住宅街のど真ん中で、こんな大音量を出せば、たとえ白昼であっても苦情が後を絶たないだろう、と。思い出したのは、日本を発つ少し前にネットで議論になった「携帯電話」の話だった。公共機関での通話をここまで厳しく取り締まっている国は、おそらく日本をおいて他にない。もっと生活音に対して寛容であってもいいのではないか、という意見に対し厳しい反論があった。

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  • 部屋散らかったら旅立つ時 2013年09月21日

 もう半年近くも海外に行っていない。そろそろ行かなければと思う。
 海外旅行に出かけるメリットはいろいろある。旅先での新しい発見や体験、心温まる出会いはその典型だ。しかし、私が定期的に海外に行く理由は、それだけではない。メリットは旅先だけでなく、実は旅を終えたあとの生活にある。
 旅から帰ってくると、睡眠が規則正しくなる。東から戻れば、時差ぼけで自然と早寝早起きになるし、西から戻った場合でも、時差ぼけ矯正のために、就寝と起床の時間にはとても気を使うようになる。夜は9時に寝て、朝4時には勝手に目が覚めるようになる。まるで尼だ。

http://www.asahi.com/area/mie/articles/MTW20130921250530001.html

夏が巡ってくるたびに、スーダンへ旅行した日々を思い出す。日中の気温は50度近かったから、息をするのも一苦労だった。今日は、そんな国で生きる人々の、酷暑との戦い方をご紹介したい。
 まず、温かいお茶を飲む。北部の一番暑い村では、これが徹底されていた。冷たいソーダを飲みたいと言うと、「ダメダメ! 体内を冷やすと余計に暑くなるから」と何度も注意を受けた。実際、温かいお茶を飲んでいるときのほうが、体は楽だったと思う。

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  • ボランティアに行った訳 2013年05月25日

知人に誘われて、ボランティアに行ってきた。世のため人のために、私欲を捨てて社会に尽くしたい、との強い思いがあったわけでは全然なくて、ただ、ビールが飲みたかっただけである。
 「春のビール祭り」の販売スタッフとして、島根県の「松江地ビール『ビアへるん』」のブースでお手伝いをさせていただいた。分かりやすく言うと、全国の地ビールが集うお祭りの会場で、楽しくなっちゃってました、という話。

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  • 機内食より好きなものがいい 2013年03月30日

ボストンからロサンゼルスに向かう飛行機の中で、この原稿を書いている。6時間半のフライトの間、食事が出る予定はないから、搭乗前に空港でサンドイッチを食べてきた。これぞ、私が一番気に入っている「ノーミールフライト」だ。
 もともと飛行機があまり好きではない私にとって、近年の一番の悩みは「機内食」だった。まず、機内食とは基本的に、おいしさを追求して作られたものではない。さらにフライトの頻度が上がってくると、何度も同じメニューを食べる羽目になって、どうしても飽きがくる。

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ハイライトは入国許可申請 2013年02月09日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 北朝鮮に行ってきた。昨年の11月のことだから、もう3カ月も前になる。マツタケ貿易の木造船に紛れ込んで岸に流れ着き、拾った自転車で平壌に乗りつけ、ちょっとメタボな金正恩(キム・ジョン・ウン)第1書記に会ってきた――。というのはウソで、旅行会社を通して入国許可を取り、中国から国際列車で入境した。高いツアー料金がどんな風に割り当てられたのか、定かではないけれど、列車で平壌に着くと、ガイド兼見張り役が常時2人あてがわれ、移動はすべて運転手つきの黒いベンツ。ホテルは電気の供給が不安定な48階建ての高層ビル。食事は超一流レストランの冷麺(外の気温は零下5度)。朝食には最高級のインスタントコーヒーをホットミルクに溶かし入れたものが出された。VIP待遇に慣れていない旅人の私は、戸惑うばかりだった。

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  • 大漁報告に思わぬコメント 2012年11月10日

大漁報告に思わぬコメント 2012年11月10日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 友人と東京湾へ釣りに出かけた。天候にも恵まれて、我々3人の釣果はアジを中心に79匹という大漁だった。 意気揚揚と帰宅し、大きめの2匹は刺し身に、次の5匹はタタキに。中くらいのアジは三枚におろして冷凍し、残りの小魚47匹は南蛮漬けに。「あと1年くらいはアジは食べなくていいかもね」なんて冗談を言いながら調理を終え、新鮮な刺し身に

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  • 地元民、旅行者ほど得じゃない 2012年09月24日

地元民、旅行者ほど得じゃない 2012年09月24日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 友人と1年ぶりにランチに出かけた。昨年から日本に駐在しているアメリカ人の男性で、現在は米国大使館に勤務する。知り合った8年前、日本を旅行中だった彼はまだ学生だった。以来、日本が気に入ったらしく、ちょくちょく遊びに来るようになった。大使館での仕事が決まった時も、うれしそうにしていた。

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  • ノーメーク証明写真の作戦 2012年07月07日

ノーメーク証明写真の作戦 2012年07月07日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 今年、パスポートを新しくした。おかげでいつもは憂鬱(ゆううつ)なアメリカの入国審査にも、次の渡米時には前向きな気持ちで臨めそうだ。新しくしたことで、渡航履歴はきれいさっぱり消えた。審査官が眉根を寄せるような国々のスタンプも消えた。もう「スーダンで何をしていたのか?」などという面倒な質問に答えなくて済む。素晴らしい。それ

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  • 悩むだけ損?二つの悩み解消 2012年05月19日

悩むだけ損?二つの悩み解消 2012年05月19日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ つい最近まで、私には二つの悩みがあった。一つは低血圧。フリーランスなんていう、いい加減な暮らしの中、毎朝パリッと早起きするのは大変だ。そこへ低血圧が追い打ちをかける。目覚めているのに、体を起こすことができない。通勤もしなくていいし、いっそこのまま布団の中で……。そんな誘惑と戦いながら、死にもの狂いで起きて仕事をしている。

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000531205190001
  • 新鮮 初めてのグループ旅行 2012年03月24日

新鮮 初めてのグループ旅行 2012年03月24日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ インドの首都デリーのホテルで、この原稿を書いている。朝7時を少し過ぎ、優雅なバルコニーを囲む緑の木々からは、小鳥たちのさえずりが聞こえる。 今回は、初めてグループで旅行をしている。雑誌の取材班は私を含めて総勢5名。食事も移動も、みんな一緒だ。ビザも乗り物も、ホテルの予約も支払いも、なーんにも心配する必要のない旅行。誰かと

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  • ややこしい モスクワ時間 2012年02月04日

ややこしい モスクワ時間 2012年02月04日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 東ヨーロッパを中心に旅を始めて2カ月。今朝(1月25日)、シベリアのチタという街に着いた。モンゴルの北、世界最深のバイカル湖から列車で東へ20時間の街だ。今、駅構内のベンチに座って、遅い日の出を待ちながらこの原稿を書いている。外の気温はマイナス24度。駅構内に表示された時刻は、午前2時25分。と言ってもこれは現地時間ではなく

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000531202040001
  • 嵐呼び込む 筋金入りの雨女 2011年12月05日

嵐呼び込む 筋金入りの雨女 2011年12月05日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 先日、和歌山県の友が島に行った。無人島キャンプを楽しみにしていた半面、出発前には不安もあった。当日の天候だ。 そう、私は筋金入りの雨女である。これまでにも、国内外のあちこちで大雨や大雪を降らせてきた。昨年、雑誌のロケで登ろうとした富士山も、登山口に着いた途端に暴風雨に見舞われた。同行した国際山岳ガイドをもってしても

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000531112050001
  • 汗かきベソかき…出国審査 2011年10月15日

汗かきベソかき…出国審査 2011年10月15日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ 先月下旬、イスラエルから飛行機で日本に戻った。イスラエルといえば、周辺のアラブ諸国との緊張が続く国。空港の警備、検閲の厳しさは世界でも有名だ。 出国審査では、荷物をX線にかける前にパスポート検査が行われる。若い女性の警備員が、パスポートをパラパラめくりながら質問開始。入国目的は? 「友達に会いに」。誰ですかそれは? 「ノア」。

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  • しゃがんだ体勢 驚かれた 2011年08月13日

しゃがんだ体勢 驚かれた 2011年08月13日 ◇◆ノンフィクション作家 中村安希◆◇ タイの山中で筏(いかだ)の川下りに参加したことがあった。竹を組んで作った簡素な筏を、きれいとは言い難い水に浮かべて川を下った。参加11人のうち、私以外は欧米からの旅行者。彼らは筏に感激したが、我々が乗り込んだ途端、筏は重みに耐えかねて、なんと沈み始めたのだ。組まれた竹の間からしみ出した水が、くるぶしまで上がってきた。 驚いた

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000531108130001
  • その他

『インパラの朝』で開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希(あき)が、国会議員18人にインタビューして日本の将来を考える『Beフラット』(亜紀書房)を刊行した。バックパッカーとして2年間で数十カ国を歩いた前作とは打って変わって、今回のフィールドは永田町。ビジョンを語らない政治家に失望しながらも、閉塞(へいそく)状況を打ち破る知恵を求めて歩き回った。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201107070361.html
  • 著書

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

Beフラット

Beフラット

食べる。

食べる。

愛と憎しみの豚

愛と憎しみの豚